『あるある』ねつ造 なぜ止まらない?

関西テレビ制作の「発掘!あるある大事典2」の実験データねつ造問題で、今度はレタスの催眠効果やみそ汁のダイエット効果を紹介した放送でも、内容がねつ造されていた疑いが明るみに出た。背景には健康食ブームもあるが、消費者はなぜ、こうも簡単にひっかかるのか。レタスの催眠効果データがねつ造された渦中の千葉科学大の長村洋一教授(健康食品学)らに聞いた。
 「(ねつ造は)制作会社に抗議する気にもなれないほどばかばかしい内容で、抗議の代わりに講演や学会で情報をきちんと見極める大切さを説く一例として話してきたつもりなのに…」
 長村教授はあまりにも大きな反響に戸惑いながらも、ねつ造の一部始終を話し始めた。
 番組スタッフから「催眠作用のあるアミノ酸の解説と、レタスを食べるとよく眠れることをマウス実験で示してほしい」と依頼されたのは一九九八年十月下旬ごろ。
 「それは知らなかった。おもしろい」とこの申し出を快諾し、レタスジュースを飲ませたマウスと水だけを与えたマウスを五匹ずつ用意して観察した。
 しかし、両者のデータに違いはなく、レタスの量を大幅に増やしてみても変化はなかった。スタッフは残念そうに引き揚げたという。
 しかし、放送ではマウスの動きが止まった映像を流し、「眠ってしまった!」のテロップ。さらに実験とは無関係の研究者が「レタスには即効性がある」とコメントしていた。
 放送を見た学生から「先生、あの映像、ウチの研究室で行った実験なのに、別の先生がコメントしていますよ」と指摘。長村教授自身も「何だこれは」と思ったが、「テレビ常連の研究者へのやっかみと思われたくないし、抗議するのもばかばかしい」と無視していたという。
 ところが、放送から二年ほど後、別の制作会社のスタッフが同様の実験依頼に来たのを機に、インターネット上で「レタス 睡眠」と検索したところ、六千件近くがヒット。しかし、レタスの催眠成分の名前は間違いで、あたかも数枚のレタスを食べただけで催眠作用が得られるとの誤解を与える内容だった。東京新聞 - 2007/1/30