がん難民、推計68万人 民間研究機関が調査

 納得できる治療を求めて悩んでいる「がん難民」はがん患者の53%で、全国で推計約68万人に上ることが7日、民間研究機関の日本医療政策機構(代表理事・黒川清前日本学術会議会長)の分析で分かった。

 がん難民は平均3カ所の医療機関を受診し、医療費は、それ以外のがん患者の1・7倍。がん難民に着目した調査は珍しく、同機構は「がん難民解消の政策に生かしてほしい」としている。

 調査は2005年1?6月、約30の患者会やインターネットを通じて実施。がん患者1186人の回答を分析した。

 明確な定義がないがん難民について「医師の治療説明に不満足、または納得できる治療方針を選択できなかった患者」と規定。いずれかに該当する人は625人、全体の53%に上った。治療方針に納得していない患者に限ると27%。02年の厚生労働省の調査で日本のがん患者は約128万人いることから、約68万人ががん難民と推計した。

 受診した医療機関数は、最も多かった患者で19カ所。がん難民の平均は3・02カ所、それ以外のがん患者は1・95カ所だった。

 がん難民の91%は「日本のがん医療の水準に不満」と回答。必要な情報として「専門医の有無」「医師・病院ごとの治療成績」などを求める割合が高かった。

北海道新聞 - 2006年12月7日