健康食品はやっぱり難しい

健康食品で一年半ほど前、このコーナーで「悩ましい商品」と題し、いわゆる健康食品の効果をどう表現するべきか、現場の模索を取り上げました。

 あくまで、薬事法に基づく薬ではありません。「高血圧に改善がみられるといわれる成分を含む」などとし、断定的な言い回しを避けるのが基本。開発した企業側が、取材に対していくら実証データを示しても、誤差があるかもしれない。何より、記者本人が実験したわけではないからです。

 関西テレビが制作した「発掘!あるある大事典?」の納豆ダイエットデータねつ造問題で、疑惑が噴出しています。慎重であるべきジャンルで、架空の数値を放送したり、外国人研究者の発言内容をすり替えた行為に言い訳はできません。

 ただ、栄養価が高く低カロリーな大豆食品そのものは、古くから健康的な食材として日本でも親しまれてきました。発酵のさせ方や、加工方法の工夫で付加価値を高め、売り出していこうという取り組みは、地場企業の間でも広がっています。

 その機能を証明し、「特定保健用食品」などとして国の“お墨付き”を得るのは容易ではありません。実験設備を持たず、資金に余裕のない中小企業にとってはなおさらのこと。

 「うちには、実証する企業体力はないんです」。大豆を使った健康食品を開発しようとする中小業者に、打ち明けられたことがあります。

 商品化できたら、記事にしていいものなのか。健康ブームの中、読者への情報提供のあり方は、本当に難しい。(経済部・大森知彦)

山陽新聞 - 2007年2月4日