健康食品の問題点と新たな提案

第12回健康食品フォーラムを「健康食品の問題点と新たな提案」をテーマで 財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会が東京・虎ノ門パストラルで10月10日に開催しました。

健康食品の安全性確保に関する現状と課題」と題して健康食品の安全性の確保対策の重点が、販売後の危害の除去から製造の段階での危害の発生防止へとシフトさせつつあることを指摘した講演を厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室・玉川淳室長が行った。

食品の将来は安全か?」をテーマに食品は同じものを繰り返し食べないことが病気発生を防ぐことに結びつきますが、健康食品は毎日摂取することが推奨されるため、適切な摂取量を含め高い安全性が求められると言明しました。2007年6月に国際生命科学研究機構から「食品の安全性評価のポイント」が発行されたことを紹介し、健康食品もこの指針に従って安全性評価を行い、認定されたものについては(財)日本健康・栄養食品協会のJHFAマークをつけ、指示通りに摂取していれば、安全性を確保できると共立薬科大学客員教授・長尾美奈子氏は講演しました。

薬学的視点から見た健康食品の機能と相互作用」と題して補完代替医療の普及と高齢者人口の増加に伴い、健康食品の関心が高まっていますが、医薬品との相互作用による有害事象が報告されている実情を指摘しました。「グレープフルーツジュース」は高血圧治療薬、免疫抑制剤、抗アレルギー薬、高脂血症などの血中濃度を上昇させ、モルヒネの鎮痛作用を有意に増強するとしました。「イチョウ葉」は、薬物代謝酵素 “CYP209” に対しては誘導作用を、 “CYP3A4” に対しては阻害作用を起こすことが示唆されることから、 “CYP209” と “CYP3A4” の基質となる医薬品との相互作用を起こす可能性があり、これらの医薬品との併用には注意が必要だと結論付けました。「ノコギリヤシ果実エキス」は、ラットにおける肝薬物代謝酵素活性及び臨床検査値は対照値と有意な差が認められなかったことから、医薬品との相互作用を起こす可能性は少なく、安全性が高いと考えられるとしました。「セントジョーンズワートエキス」は薬物代謝酵素を誘導し、免疫抑制剤など種々の薬物の効果を減弱させることが知られ、米国ではあまり使用されないことを静岡県立大学薬学部・医療薬学大講座薬物動態学分野・グローナルCOEプログラムの山田静雄教授が報告しました。