モズク色素、白血病治癒

トロピカルテクノセンター(うるま市、TTC)は29日、ワカメやモズクなど褐藻類に含まれるカロテノイド(色素)のうち、フコキサンチンとその関連物質が、成人T細胞白血病(ATL)に作用し、マウスを使った試験などで治癒効果が認められたとして、研究成果を特許出願したと発表した。

 研究を統括する東北大学名誉教授の安元健氏は同日、県庁で記者会見し「ATL治療薬の開発には時間がかかるが、天然成分由来の健康食品として商品開発を進めたい。モズクの豊富な沖縄はコスト的に優位に立てる」と評価した。

 ATLは、母乳を介して感染するウイルス型の白血病で、成人後約5%の確率で発症する。国内には感染者約100万人がいるとされ、3分の1は沖縄、鹿児島、宮崎、長崎の4県で占めるが、有効な治療法は確立していない。

 TCC県地域結集型共同研究事業研究員の森直樹琉球大学教授らは、沖縄産モズクフコイダン製造の副産物として得られるフコキサンチンに着目。寿命を超え増殖を続けるがん細胞に対し、細胞の自然死を促す作用があることを突き止めた。白血病細胞治療への有効性を研究した結果、フコキサンチンがATLウイルス感染細胞に特に高い効果を示したという。

沖縄タイムス - 2006年11月29日